事業計画書とは、経営者が今後どのように事業運営を行っていくかといった頭の中の構想を、外部にわかりやすいよう形にしたものを指します。
そのため、経営者が進むべき道に迷ってしまった際には正しい道筋を示してくれる羅針盤のようなものだと言われるほど重要なものです。
一方、創業時に作る計画書のことを特に創業計画書と呼びます。
創業計画書とは、事業を始める際に今後どのくらいの期間でどのような事業をどのような方針で進めていくのかを創業時に作成する書類のことを指します。
それでは、なぜ創業時に事業計画書(創業計画書)を作成することが重要なのかについての主な理由を2つお伝えします。
創業時に、何のために事業を行い、今後どのくらいの期間でどのような事業をどのような方針で進めていくのか、といった頭の中の構想を計画書に落とし込んでいくことにより、起業者自身の思考の整理が可能になり、将来的に事業を軌道に乗せることを目指す上で、途中で道に迷うことなく着実に前進させることができます。
創業時は、事業を早く軌道に乗せるためにも資金調達はとても重要になります。
そこで、資金調達をする際、金融機関や公的機関に対して「どのような事業を、どのようなスケジュールで行っていくのか」を伝えるためのツールとして、創業計画書が重要になります。
また、融資の成功確率を上げるためには、一貫性があり、説得力のある計画書を作成する必要があります。
起業時に融資を受ける必要があるのであれば、融資担当者に評価される質の高い事業計画書を作成する必要があります。
そこで、創業融資を受ける先の金融機関(公的機関)として一番に名前が挙がるのが「日本政策金融公庫」です。
日本政策金融公庫では、創業期に利用できる融資の種類が豊富な上、金利が低く、無担保保証制度もあるため、日本政策金融公庫にて創業融資を受けることを前提に、創業計画書を作成する際に必ず押さえるべき8つの基本項目について紹介します。
①創業の動機
②経営者の略歴等
③取扱商品・サービス
④取引先・取引関係等
⑤従業員
⑥お借入の状況
⑦必要な資金と調達方法
⑧事業の見通し
どのくらい創業をしたいかといった起業者の本気度をアピールする項目となります。
どのような目的でどのような事業を行いたいのかなど、創業の動機を分かり易く簡潔に書くことがポイントとなります。
事業を上手く軌道に乗せ、事業を成功させることができるか、といった創業者のポテンシャルを測る項目となります。
事業に関連する経験やスキル・知識を持っていることをアピールします。
起業後、どのような商品・サービスを提供し、どのようにマーケティングをしていくか等を説明する項目となります。
根拠となる数字や資料を用いて説得力のある内容にすることがポイントとなります。
製品(商品)やサービスを提供する顧客は具体的に誰なのか、仕入れ先をはじめとしたステークホルダーとはどれほど信頼・信用関係があるかについて説明する項目となります。
どのような顧客層をターゲットとするのか、仕入れ先等の取引先との関係性はどのようなものなのか等を具体的且つ簡潔に記載します。
事業を運営していくにあたり、必要従業員数は確保できているのかを記載する項目となります。
起業者の借入状況を説明する項目となります。
個人で借入がある場合は必ず記載する必要があります。
(個人信用情報機関にて個人情報を確認される可能性があります)
事業を運営していくために具体的にいくら必要でどのように資金調達をするかを説明する項目となります。
今まで個人で貯めてきた自己資金を記載することで、起業に対する本気度をアピールすることができます。
今後始める事業でどのくらいの収益を出すことができるかを記載する項目となります。
融資を受ける以上、返済能力がどれほどあるのかを説得力のある形で説明する必要があります。
起業時に金融機関で融資を受ける際、事業計画書に説得力を持たせるといったことも重要ですが、その他にも注意すべき重要な点がございます。
以下にて、主に日本政策金融公庫にて融資を受ける際に特に注意すべき3つの重要な点を紹介します。
起業をするにあたり、融資担当者は起業者がどれほど起業に本気なのかを確認します。
起業に向け自己資金をコツコツ貯めてきた方は、起業準備の努力や計画性が十分にあると判断される傾向にあるため、これから起業を考えている方は、今からでも自己資金を貯めるよう心がけましょう。
なお、一般的に融資を受けたい金額の1/9程度が、必要最低限持っておきたい自己資金の目安となります。
融資を受ける際、融資担当者は今後立ち上がる事業自体について確認することはもちろんのこととして、それと同じくらい特に見られるのが、起業者の個人信用情報です。
融資とは、二者間の信用関係が担保されてはじめて実行されるものですので、融資を受ける側である起業者は信用に値する人物なのかを、CIC情報等を見て問題が無いか確認します。
よって、これから起業を考えている方は、信用情報に傷が入らないよう日頃から気を付けましょう。
融資を受ける際は、計画書の提出とは別に融資担当者との面接が発生します。
そのため、前述した個人の信用情報だけでなく、融資をしてもしっかりと返済してくれる人なのか、信用に値する誠実な人かどうかの確認をされます。
また、面接の場ではどのような事業をしていくのか、なぜ融資を希望するのかについて論理的に説明する必要があります。
以上より、面接の場では丁寧な受け答えをすることや、事前に面接を想定した対策をしておく必要があります。
一般に、「設立後5年以内に、50%もの会社が廃業に追い込まれてしまう」という事実がある中、事業を成功させることは簡単なことではありません。
少しでも事業を軌道に乗せ、成功に近づけるためにも、創業融資を受けることはとても重要です。
創業融資の成功確率を上げるためにも、事業計画書(創業計画書)を作成する前に確認しておきたいポイントを紹介します。
日本政策金融公庫の融資において、自身で申請した場合には必ずしも最適な融資制度を選択できるとは限りません。
よって、日本政策金融公庫の主な融資制度だけでも複数あるので、創業者の状況を踏まえて好条件且つ最適な融資制度を選択し、申し込みを行いましょう。
自身で申請する場合、早くても1ヶ月程度、おおよそ3ヶ月程度は融資実行までに時間が必要と言われています。
早期に事業を軌道に乗せるためにも、どの融資制度に申し込みをするかをはじめ、準備段階から融資実行までの現実的且つ具体的なスケジュールを立てるようにしましょう。
融資は一度審査に落ちると、半年間再申請ができないと言われています。
大切な創業期に十分な資金を確保できないと、最悪の場合は事業継続が困難な状況に陥ります。
そのため、創業計画書の作成をはじめ、金融機関や専門家に確認をとるなどして正しい方法で念入りな準備をしましょう。
事業計画書の作成をするにあたっては、慣れていないと事業計画自体の策定の仕方や、計画書へ落とし込む際の書き方がわからないために、想定以上の時間がかかります。
また、多くの起業者は多方面で忙しいといった事情から、事業計画書の作成に割ける時間がとれないことから、先延ばしをしてしまうこともあるかと思います。
これらの問題を解決するために、専門家に相談し作成代行を依頼するのも1つの手として考えられます。
事業計画書の作成をサポートしてくれる専門家として考えられるのは、一般的には中小企業診断士や税理士となります。
その中でも、創業特化(創業融資サポート)の専門家を選ぶ場合は、日本政策金融公庫をはじめとした公的機関の創業融資サポート実績が豊富な専門家を選ぶと、融資成功率が高く、採択までの手続きが比較的スムーズに進みます。
以上より、事業計画書の作成にあたり、ご自身で全てを抱え込まず、事業計画書作成の専門家に相談し作成代行も視野にいれることもお考えください。
当事務所では、創業期の事業計画書の作成サポートはもちろんのこと、創業融資のサポートも行っております。
初回のご相談は無料で承っておりますので、まずはお気軽に無料相談までお越しください!