消費税の納税義務がある事業者を「課税事業者」と呼び、消費税の納税義務が免除される事業者を「免税事業者」と呼びます。
事業者免税点制度とは、事業者側の税負担や徴収コストなどを考慮し、「基準期間」における「課税売上高」が1000万円以下の事業者を免税事業者とする制度のことです。
個人事業者であれば前々年、法人は前々事業年度になります。
消費税の課税対象となる取引の売上高のことを指し、事業で得た収益の大部分が該当します。
ただし、土地の売却収入や住宅の家賃収入、社会保険診療報酬など、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から消費税を課税しない非課税取引等の売上高は含みません。
たとえば、3月決算の法人で2022年度を当期とした場合、2020年度の課税売上高が1000万円以下であれば免税事業となり、当期の消費税の納税義務が免除されることになります。
また、設立したばかりの法人は、基準期間が存在しないため、設立して1期目および2期目は、消費税の納税義務が免除されます。
つまり、設立から2年は免税事業者になるということです。
ただし、資本金の額や出資額が1000万円以上の法人や、「特定新規設立法人」に該当する法人は免除されません。
※特定新規設立法人とは、以下の2つの要件に該当する法人のことを言います
では、特定新規設立法人でなくても、納税免除にならないのはどのようなケースなのでしょうか。
基準期間の課税売上高が1000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されます。
しかし、免税事業者であっても、「特定期間」において課税売上高が1000万円以上ある場合には、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日まで、法人の場合、原則としてその事業年度の前事業年度の開始日から6カ月間になります。
また、免税事業者が、所轄の税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となった場合も、消費税の納税義務が発生します。
しかし、免税事業者になるのは、一定のメリットがある場合です。
課税事業者になると、確定申告をすることで、還付を受けることができます。
課税売上に係る消費税より課税仕入れに係る消費税が多い場合、還付となり、還付金のほうが多いのであれば課税事業者になるほうが有益といえます。
たとえば、設備投資などで多額の消費税を支払ったにも関わらず、売上にかかる消費税が少ない場合などは課税事業者になるほうがメリットがあります。
また、消費税が課税されない海外への輸出取引業者の場合には、商品の仕入で発生した消費税額を考慮すると、課税事業者のほうがメリットを享受できるのです。
ただし、一度届出書を提出して課税事業者になると、事業を廃止した場合を除いて、課税事業者になった日から2年間は免税事業者に戻ることができないため注意が必要です。
いかがでしょうか?
現在、課税売上高が1000万円以下の免税事業者は、免税事業者と課税事業者のどちらのほうが損がないかを調べておきましょう。
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