『2025年の崖』という⾔葉は、IT技術の⾰新に伴い、これまで使⽤していたシステムが⽼朽化・複雑化し、DX推進ができずおおきな経済損失につながる可能性を示しています。今回は2025年の崖に関連して、企業が抱える課題や解決策について解説します。
『2025年の崖』とは、経済産業省の「DXレ ポート〜ITシステム『2025年の崖』克服とDXの 本格的な展開〜」で提⽰された⾔葉です。 同レポートでは、DX推進によるデータ活⽤にあたり、⽼朽化・複雑化した既存システムが抱える課題についての指摘がなされています。そして、この課題が解決できない場合、DXが実現できないだけでなく、この課題に伴う経済損失が、2025年以降、最⼤で年間12兆円にまで増加する可能性があります。これらの経済損失が発⽣するリスクを「2025年の崖」と呼んでいます。⽼朽化・複雑化・肥⼤化・ブラックボックス化したシステムを『レガシーシステム』といい、存在し続けるだけで経営・事業戦略上の⾜かせになるリスクを抱えているとされています。2025年には、基幹システムを21年以上利⽤している国内企業が全体の約6割を超えるといわれており、多くの企業で、「レガシーシステム」が抱える問題と向き合う時が訪れることになるでしょう。また、既存システムの維持管理費も今後ますます高騰し、IT予算の9割以上を占めると予測されています。
そのほか、各種システムのサポート期間の終了に伴い、システム全体を⾒直す必要があるだけでなく、IT⼈材の不⾜によりシステムの保守運⽤が困難になり、サイバーセキュリティやシステム障害などのリスクも⾼まるおそれがあります。クラウド活⽤の進展と共に、従来型ITサービス市場は成熟しているものの、急速な変化が続き、企業はこれらの変化への対応が重要といえるで しょう。
2025年の崖の克服がむずかしい要因として「経営層の意識⽋如」「変化を好まない現場からの抵抗」などが考えられます。経営者や情報システム部⾨がDX推進に積極的でも、新システムの導⼊により既存の業務フローなどが刷新されることに事業部⾨が消極的になるケースもみられます。各部署が個別最適化を優先した結果、複雑になったシステムが企業全体での情報・データ管理を困難にしているという背景もあります。また、IT系の⼈材不⾜により、システム運⽤をベンダー企業に任せてしまい、社内にノウハウが蓄積されないという状態も要因のひとつです。 2025年の崖を解決する⽅法としては、やはり意識改⾰と社内整備の構築が重要です。たとえば 「DX推進システムガイドライン」を制定し、経営戦略におけるDXの重要性を社内に周知させると共に、情報の⾒える化や分析スキームの構築など改善に取り組む体制を整備するとよいでしょう。また、ITシステムの刷新はもちろん、新たな技術へ対応できるようIT系⼈材を育成していく必要があります。
さらに、ベンダー企業との関係性の⾒直しや、DX推進を伴⾛する新たな社外パートナーの開拓など対外的な活動も重要です。
「2025年の崖」の定義や課題についてしっかり理解し、⾃社に該当する課題があれば積極的な 改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。